君を守りたくて①(鷹司正臣×ジル)

00.血に塗れた世界(ジル視点)
鈍い音が響いた。
少し前に意識を手放したことを思い出し、薄く目を開くと…
男が怒り任せに自分を蹴り続けている姿を確認した。
狂ったように、自分を嬲るその男に私はゆるりと微笑む。
私を虐げることで、あなたは幸せになれますか?
あなたが、幸せになるのなら私はそれを望みます。
あなたは、私の家族だから。
血の繋がりなどなくとも、数時間前に家族の契りを結んだ。
痛みなど感じない。
それほどに殴られたから。
感覚は麻痺していて、そして…
キラリと光る刃物が振りかぶった瞬間、私は…
嗚呼、ここが私の世界…
そう感じて、瞳を閉じた。