RUN②(熱斗×炎山)

2.虐待
痛みだけが増す世界
俺はそれを知っている
電気のない暗がりの部屋
カーテンを閉められ閉ざされた世界
痛みだけの世界
「貴方は、秀石様の言うことだけ聞いてればいいのよッ」
そう言って俺を蹴り続ける女
何が気に食わないのか
俺はいつだってあの人の言うことだけを聞いている
それ以外は有り得ない
愛されるなど論外だ
それでも目の前にいるこの女は不安なのだろう
目の前にいる俺の母親は俺が気に入らないのだろう
いつだって暗がりの世界に俺はいる
変わりのない世界
だってそれが当然の義務だから
暴行を受け、自身を罵られ
それが当たり前だったから
ただ、今は違った
俺には好きな人が出来た
だから守りたかった
暴力を振るわれながらそんなことを考える俺に女は先程より暴行を与える
愛されることのない世界
それが当たり前だった
擬似恋愛でも良い
愛されることが嬉しかった
それが例え偽物でも
俺は純粋に嬉しかったんだ
痛みだけが伴う世界にいた俺に
光を与えたのは
彼だから
いつだって無邪気に微笑む君だけ
君だけが俺の世界
笑顔を見せる彼に俺は思うんだ
こんな世界もあるんだと
けれど俺がもらったそれは偽物だけれど
それでも良いと思った
俺は、全てを望むから
「痛いでしょう、苦しいでしょうッ」
そう言って俺の腕をギリギリと握り潰す女
憎らしげに見詰めるそれは狂気だった
どうして不満なのだろう?
俺はこんなにも貴方に忠実になっているのに
体を貴方に捧げ
思うままにさせているのに
何が不満なのか
これを世は虐待と呼ぶ
けれど俺はそれを愛情と呼んだ
俺は愛されたかったから
少しでも触れたかったから
愛情という名の狂気に
それでも愛されない
分かっていたことだ
血の繋がりのない母親に虐待され俺は思う
ああ、愛されている…と
それこそが間違っているとしても
見向きもされないことの方が哀しいから
ずっとそうだった気がするのに
何故だろうか、とても哀しく感じる
「さあ、死になさい…早く死になさいッ」
それだけは出来なかった
死ぬ事は出来ない
俺は生きなければならない
あの人が…父が俺を必要としてる限り
死ぬわけにはいかない
それだけは無理だと思った
それでも目の前にいるこの女性は願うのだろう
死んで欲しい、と
無理だと分かっているからこそ
殺せないことだと分かっているからこそ
望むのだろう
死になさい、と
それでも俺は生きなければならないのだけれど…       09.11.23.月
***

暴力的な二話目です。

間違ってみて、気を悪くしたら、謝ります。

こんな炎山くんはありえなーい!
とか思う人が大半だろうけどね。

これを書いた時の私はうつだったに違いない!!

さあ、どんどん載せるぞー